人工膵臓

人工膵臓(じんこうすいぞう)は、膵臓の機能の一部をそなえた人工臓器

膵臓は機能の異なる外分泌腺内分泌腺から構成されている。膵臓の臓器としての作用には、インスリンなどのホルモンを分泌する内分泌作用、膵液を分泌する外分泌作用がある。インスリンには血糖を下げる働きがあり、膵臓腫瘍でインスリンの分泌が過剰になれば、低血糖発作を引き起こし、分泌が不足すれば血糖値が上昇して糖尿病となる。インスリンはランゲルハンス島から分泌される。近年日本においても増加傾向にある糖尿病は、このインスリンの作用に関わる病気と言うことになる。

様々な機能を保持する膵臓の全機能を人工臓器で補うには限界があり、現在「人工膵臓」と呼ばれている人工臓器は、このうちインスリン分泌の内分泌作用のみに携わる人工臓器である。この点、心臓のポンプ作用のみを補う人工心臓と似たところがある。正確には人工膵臓と呼ぶよりは「人工ランゲルハンス島」と呼称した方が正確かもしれないが、一般に「人工膵臓」と言われるのは、血糖を制御する目的で開発された機械である。

参考文献

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  • 岩田博夫, 雨宮浩, 阿久津哲造「ゲルタブレットタイプのハイブリッド型人工膵臓の試み」『人工臓器』第18巻第3号、日本人工臓器学会、1989年、1324-1327頁、doi:10.11392/jsao1972.18.1324、ISSN 0300-0818、NAID 130001733921。 
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  • 七里元亮『人工膵臓の基礎と臨床』、名古屋大学出版会、1985年、NAID 10005627499。 
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外部リンク

  • 糖尿病の新しい治療 「人工膵臓」の進歩


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