交響曲第41番 (ハイドン)

ウィキポータル クラシック音楽
ポータル クラシック音楽

交響曲第41番 ハ長調 Hob. I:41 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1768年頃に作曲した交響曲

作曲年代

この曲は自筆原稿が残っておらず、作曲年代ははっきりしない。ヨハン・ユリウス・フンメル(有名なヨハン・ネポムク・フンメルとは無関係)によって1770年に出版されているので、それ以前の曲である[1]H.C.ロビンス・ランドンは、おそらくヨハン・エルスラーによって書かれた筆写譜の紙の種類と、エントヴルフ・カタログ上の位置を根拠として、1768年には既に書かれていたかもしれないとした[2]。またソーニャ・ゲルラッハは、緩徐楽章に独奏楽器以外に通常の管楽器が用いられていることから1767年以前の作品ではないとした[3]

同時期に書かれたハ長調の交響曲には、ほかに第38番『こだま』と第48番『マリア・テレジア』がある。

編成

フルート1(第2楽章のみ)、オーボエ2、ホルン2(、トランペット2、ティンパニ)、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、低音(チェロコントラバスファゴット)。

ジェームズ・ウェブスター(英語版)によれば、トランペットとティンパニのパートは上記エルスラーの筆写譜には存在せず、またどちらの楽器も当時のエステルハージ家では使われていなかったと考えられることから、真正のものではない[3]

1765年9月にフルート奏者のフランツ・ジーグルが解雇された後、ハイドンの交響曲でフルートが常に使われるようになるのは再びエステルハージ家にフルート奏者が雇われる1776年4月以降で、それ以前には珍しい。本曲以降、第61番までフルートは使われていない。

ホルンは第2楽章で低いC管が、それ以外の楽章では高いC管が使われる。

曲の構成

全4楽章、演奏時間は約24分[4]

  • 第1楽章 アレグロ・コン・スピーリト
    ハ長調、4分の3拍子ソナタ形式
    miniatur
    おだやかな舞曲風の第1主題が弦楽器に現れる。2回めはオーボエが重ねられ、派手なトレモロによって盛り上がる。提示部のかなり後ろの方で弦楽器によって第2主題が演奏される。展開部は極端な転調やフェルマータを含む。再現部の第2主題にはオーボエが重ねられる。
  • 第2楽章 ウン・ポコ・アンダンテ
    ヘ長調、4分の2拍子、ソナタ形式。
    弱音器をつけたヴァイオリンによってはじまる。続けてフルートの独奏が32分音符で分散和音を演奏し、第1オーボエが旋律を奏でる。展開部は再現部の直前まで弦楽器のみによる。
  • 第3楽章 メヌエット - トリオ
    ハ長調、4分の3拍子。
    メヌエット主部はトリルや3連符を使った華やかな主題を持つ。トリオは対照的にレントラー風の素朴な曲で、管楽器が主題を演奏する。
  • 第4楽章 フィナーレ:プレスト
    ハ長調、4分の2拍子、ソナタ形式。
    3連符の連続によるジーグ風の高速な舞曲になっている。

脚注

  1. ^ 大宮(1981) 表p.5
  2. ^ 音楽之友社ミニスコアのランドンによる解説
  3. ^ a b デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第5巻、ウェブスターによる解説。1992年
  4. ^ 音楽之友社のミニスコアによる

参考文献

  • 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年。ISBN 4276220025。 
  • 『ハイドン 交響曲集IV(41-49番) OGT 1592』音楽之友社、1982年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1967年のもの)

外部リンク

A - B - 第1番 - 第2番 - 第3番 - 第4番 - 第5番 - 第6番『朝』 - 第7番『昼』 - 第8番『夕』 - 第9番 - 第10番 - 第11番 - 第12番 - 第13番 - 第14番 - 第15番 - 第16番 - 第17番 - 第18番 - 第19番- 第20番 - 第21番 - 第22番『哲学者』 - 第23番 - 第24番 - 第25番 - 第26番『ラメンタチオーネ』 - 第27番 - 第28番 - 第29番 - 第30番『アレルヤ』 - 第31番『ホルン信号』 - 第32番 - 第33番 - 第34番 - 第35番 - 第36番 - 第37番 - 第38番『こだま』 - 第39番 - 第40番 - 第41番 - 第42番 - 第43番『マーキュリー』 - 第44番『悲しみ』 - 第45番『告別』 - 第46番 - 第47番『パリンドローム』 - 第48番『マリア・テレジア』 - 第49番『受難』 - 第50番 - 第51番 - 第52番 - 第53番『帝国』 - 第54番 - 第55番『校長先生』 - 第56番- 第57番 - 第58番 - 第59番『火事』 - 第60番『うかつ者』 - 第61番 - 第62番 - 第63番『ラ・ロクスラーヌ』 - 第64番『時の移ろい』 - 第65番 - 第66番 - 第67番 - 第68番 - 第69番『ラウドン将軍』 - 第70番 - 第71番 - 第72番 - 第73番『狩』 - 第74番 - 第75番

イギリス交響曲

第76番 - 第77番 - 第78番

第79番 - 第80番 - 第81番

パリ交響曲

第82番『熊』 - 第83番『めんどり』 - 第84番 - 第85番『王妃』 - 第86番 - 第87番

トスト交響曲

第88番『V字』 - 第89番

ドーニ交響曲

第90番 - 第91番 - 第92番『オックスフォード』

ロンドン交響曲

第93番 - 第94番『驚愕』 - 第95番 - 第96番『奇蹟』 - 第97番 - 第98番 - 第99番 - 第100番『軍隊』 - 第101番『時計』 - 第102番 - 第103番『太鼓連打』 - 第104番『ロンドン』

典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • VIAF
国立図書館
  • フランス
  • BnF data
その他
  • MusicBrainz作品