サッカー中華人民共和国代表(サッカーちゅうかじんみんきょうわこくだいひょう)は、中国サッカー協会(CFA)によって構成される、中華人民共和国のサッカーのナショナルチームである。
アジアサッカー連盟(AFC)および東アジアサッカー連盟(EAFF)に所属。ホームスタジアムは首都・北京にある北京工人体育場。
歴史
黎明期
1913年に創設された極東選手権の第1回大会に参加し、フィリピン戦で初の国際試合を経験した。なお、極東選手権競技大会では10大会中9大会で優勝を果たした。FIFAワールドカップには1958年大会で初めて予選に参加したが、インドネシア代表に敗退。その後1978年大会まで不参加であり、1982年大会から再び予選に参加した。
1982年大会のアジア・オセアニア予選では、日本や北朝鮮を下した後、最終予選でニュージーランドと勝ち点・得失点差で同率2位となり、最終予選プレーオフでニュージーランドと対戦したものの1-2で敗れた。1986年大会のアジア予選ではホームで香港に敗れ1次予選グループ4A2位で予選敗退。1990年大会のアジア予選では、最終予選に進出したものの、カタール戦とUAE戦で共に1-0から残り数分で逆転負けするなど4位に終わり予選敗退。1994年大会のアジア予選では1次予選グループA2位で予選敗退。1998年大会のアジア予選でも、最終予選に進出したもののグループA3位で予選敗退。このように、ワールドカップ出場権を逃す状況が続いた。
初のW杯出場
2000年にレバノンで開催されたAFCアジアカップ2000では歴代最高タイとなる4位となり、ワールドカップ2002年大会のアジア予選では、開催国として日本と韓国が予選を免除され、当面のライバルは中東に絞られることになった。アジア最終予選のグループ分けではサウジアラビア、イラン、イラクなどが全てグループAへと回り、中国はUAE、ウズベキスタン、オマーン、カタールなどと同じグループBとなった。そしてボラ・ミルティノビッチに率いられた中国代表は、アジア最終予選グループBを6勝1敗1分のトップで通過し、初の本大会出場権を獲得した。その本大会では1次リーグ・グループCに入り、ブラジル、コスタリカ、トルコと対戦したが、3戦無得点で全敗しグループ最下位で敗退となった。
その後、自国開催となったAFCアジアカップ2004で準優勝した。しかし、2006 FIFAワールドカップのアジア予選では1次予選でクウェートに総得点で僅差で及ばず敗退となった[注 1]。予選敗退後は2008年の北京オリンピックに照準を合わせ世代交代を進め、2005年の東アジア選手権では優勝した。
2010年代
2010 FIFAワールドカップ・アジア予選は、オーストラリア、イラク、カタールと同じ組となり、3次予選でグループ1最下位に終わり敗退した。韓国に対しては恐韓症とも称されている。なお、2010年の東アジア選手権で、初対戦から32年、28試合目にして3-0で初勝利した。
2014 FIFAワールドカップ・アジア予選も3次予選グループA3位で敗退した。2015年アジアカップは予選で苦しめられ、各組3位の最上位での出場権獲得と間一髪だった。本大会ではグループリーグを3戦全勝しベスト8に進出したが、準々決勝でオーストラリアに0-2で敗れた。
EAFF E-1サッカー選手権2017では初戦で恐韓症とも称される韓国と対戦。前半9分に韋世豪(英語版)のゴールで先制するも、直後に逆転を許したことが響き、76分にユー・ダーバオのゴールで追いつくも2-2で引き分け。第2戦の日本戦はスコアレスで粘りを見せていたが、試合終盤に2点を奪われるなどして1-2で惜敗した。最終戦の北朝鮮戦も28分に先制するも、試合終盤の81分にセットプレーから失点して1-1で引き分けとなり、未勝利で大会を終えることとなった。
2018 FIFAワールドカップ・アジア予選では3次予選まで進出し、グループA5位で予選敗退となったものの、第6節で韓国をホームで1-0で破った。なお、中国は最終予選は4節終了時点で勝ち点1しかない状況だったが、FIFAW杯2006年大会でイタリア代表を優勝に導いたマルチェロ・リッピが監督に就任してから残りの6試合は、前述の韓国撃破など3勝2分1敗と好調だった。
EAFF E-1サッカー選手権2019では初戦の日本戦は29分、70分に失点を喫し、90分にドン・シュエシェンのゴールで1点を返すも同点に追いつくことはできず1-2で惜敗した。第2戦の韓国戦も13分にキム・ミンジェにゴールを決められてそのまま0-1で敗れ、最終戦の香港戦で2点を奪ってようやく初勝利を手にして大会を終えた。
2020年代
2022 FIFAワールドカップ・アジア予選では最終予選に進出。初の国外出身選手であるブラジル出身のエウケソン(艾克森)[2]、アラン(阿兰)、アロイージオ(洛国富)、イギリス出身のブラウニング(蒋光太)、イェナリス(李可)、香港出身の戴偉浚(英語版)らが招集され話題となったが、中国のゼロコロナ政策の影響でホームゲーム開催ができなかったこともあり、予選敗退となった。
2021年12月28日、中国国家体育総局はサッカー代表選手に対し、タトゥーの除去を勧告と新たに入れることを禁止する通達を出した。また、既にタトゥーを入れている選手に対し、「特殊な状況」下で行われる練習や試合中はタトゥーを隠すよう指示した[3]。2021年時点でブラジルなどから帰化選手も増えており[4]、その対応の一環。
中国がCOVID-19対策を理由として開催を返上、日本開催となったEAFF E-1サッカー選手権2022では、1勝1分け1敗となり3大会連続でのグループ3位という結果に終わった[5]。
本来は2023年6~7月に中国で開催予定も、COVID-19対策を理由に開催を返上、2024年1~2月にカタールで開催されたAFCアジアカップ2023においてはグループステージで2分け1敗の3位、他グループとの比較で3位チームの6チーム中4位以内に入れず、グループステージで敗退した。
成績
FIFAワールドカップ
AFCアジアカップ
AFCソリダリティーカップ
極東選手権競技大会
開催年 | 結果 | 試合 | 勝利 | 引分 | 敗戦 | 得点 | 失点 |
1913年 | 準優勝 | 2 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 |
1915年 | 優勝 | 3 | 1 | 2 | 0 | 2 | 1 |
1917年 | 優勝 | 2 | 2 | 0 | 0 | 8 | 0 |
1919年 | 優勝 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 3 |
1921年 | 優勝 | 2 | 2 | 0 | 0 | 5 | 1 |
1923年 | 優勝 | 2 | 2 | 0 | 0 | 8 | 1 |
1925年 | 優勝 | 2 | 2 | 0 | 0 | 7 | 1 |
1927年 | 優勝 | 2 | 2 | 0 | 0 | 8 | 2 |
1930年 | 優勝 | 2 | 1 | 1 | 0 | 8 | 3 |
1934年 | 優勝 | 3 | 3 | 0 | 0 | 7 | 3 |
合計 | 10/10 | 23 | 18 | 3 | 2 | 60 | 17 |
アジア競技大会
EAFF E-1サッカー選手権
開催年 | 結果 | 試合 | 勝利 | 引分 | 敗戦 | 得点 | 失点 |
2003年 | 3位 | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 | 4 |
2005年 | 優勝 | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 | 3 |
2008年 | 3位 | 3 | 1 | 0 | 2 | 5 | 5 |
2010年 | 優勝 | 3 | 2 | 1 | 0 | 5 | 0 |
2013年 | 準優勝 | 3 | 1 | 2 | 0 | 7 | 6 |
2015年 | 準優勝 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 |
2017年 | 3位 | 3 | 0 | 2 | 1 | 4 | 5 |
2019年 | 3位 | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 | 3 |
2022年 | 3位 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 |
合計 | 9/9 | 27 | 9 | 9 | 9 | 36 | 32 |
歴代監督
歴代選手
詳細は「Category:サッカー中国代表選手」を参照
W杯の大会メンバー
主な代表選手
- GK
- 区楚良(英語版)(1992年 - 2002年)
- 江津(英語版)(1997年 - 2002年)
- 曾誠(2009年 - )
- 董蘅毅(2012年 - )
- 王大雷(2012年 - )
- 顔駿凌(2015年 - )
| - DF
- 賈秀全(1982年 - 1992年)
- 朱波(1983年 - 1993年)
- 馬明宇(英語版)(1984年 - 1989年)
- 范志毅(1992年 - 2002年)
- 張恩華(英語版)(1995年 - 2002年)
- 呉承瑛(英語版)(1996年 - 2002年)
- 孫継海(1996年 - 2008年)
- 李瑋峰(1999年 - 2011年)
- 徐雲龍(2000年 - 2008年)
- 杜威(2001年 - 2016年)
- 孫祥(2002年 - 2013年)
- 張琳芃(2009年 - )
- 栄昊(2009年 - )
- 李昂(2014年 - )
- 王シン超(2017年 - )
- 李磊(2019年 - )
- 朱辰傑(2019年 - )
- 蒋光太(ティアス・ブラウニング、2020年 - )
|
- MF
- 李明(1992年 - 2004年)
- 李鉄(1995年 - 2007年)
- 馬明宇(英語版)(1996年 - 2002年)
- 肇俊哲(1998年 - 2008年)
- 邵佳一(2000年 - 2010年)
- 鄭智(2002年 - )
- 周海濱(2003年 - 2011年)
- 趙旭日(2003年 - )
- 蒿俊閔(2005年 - )
- 于海(2009年 - )
- 于大宝(2010年 - )
- 呉曦(2011年 - )
- 張稀哲(2011年 - )
- 李可(ニコ・イェナリス、2019年 - )
| - FW
- 柳海光(英語版)(1983年 - 1990年)
- 馬林(英語版)(1984年 - 1990年)
- 黎兵(英語版)(1992年 - 2001年)
- 郝海東(1992年 - 2004年)
- 宿茂臻(英語版)(1994年 - 2002年)
- 李金羽(1997年 - 2008年)
- 曲波(2001年 - 2013年)
- 郜林(2005年 - )
- 楊旭(2009年 - )
- 于漢超(2009年 - )
- 武磊(2010年 - )
- 張玉寧(2016年 - )
- 艾克森(エウケソン、2019年 - )
- 阿兰(アラン、2021年 - )
- 费南多(フェルナンジーニョ、2021年 - )
|
歴代記録
出場数ランキング
- 2024年3月17日現在
水色は現役代表選手
順位 | 名前 | 出場 | 得点 | 期間 |
1 | 李瑋峰 | 112 | 14 | 1998年 – 2011年 |
2 | 郜林 | 109 | 22 | 2005年 - 2019年 |
3 | 鄭智 | 108 | 15 | 2002年 - 2019年 |
4 | 郝海東 | 106 | 39 | 1992年 – 2004年 |
范志毅 | 106 | 17 | 1992年 – 2002年 |
6 | 張琳芃 | 104 | 6 | 2009年 - |
7 | 武磊 | 94 | 32 | 2010年 – |
8 | 李鉄 | 92 | 6 | 1997年 – 2010年 |
9 | 蒿俊閔 | 90 | 12 | 2005年 - 2022年 |
10 | 趙旭日 | 87 | 2 | 2003年 - 2019年 |
得点数ランキング
- 2024年3月17日現在
水色は現役代表選手
順位 | 名前 | 得点 | 出場 | 期間 |
1 | 郝海東 | 39 | 106 | 1992年 – 2004年 |
2 | 武磊 | 32 | 94 | 2010年 – |
3 | 楊旭 | 28 | 54 | 2009年 – 2023年 |
4 | 宿茂臻(英語版) | 27 | 53 | 1994年 – 2002年 |
5 | 李金羽 | 24 | 70 | 1997年 – 2008年 |
6 | 郜林 | 22 | 109 | 2005年 – 2019年 |
7 | 馬林(英語版) | 21 | 45 | 1985年 – 1990年 |
8 | 柳海光(英語版) | 20 | 57 | 1983年 – 1990年 |
黎兵(英語版) | 20 | 65 | 1992年 – 2001年 |
10 | 趙達裕(英語版) | 19 | 29 | 1982年 – 1986年 |
于大宝 | 19 | 65 | 2010年 – |
脚注
[脚注の使い方]
注釈
- ^ 勝点、当該国同士の対戦成績、得失点差は同点。総得点でクウェートが1点多かった。
出典
- ^ “China matches, ratings and points exchanged”. World Football Elo Ratings: China. 2014年11月18日閲覧。
- ^ “サッカー中国代表がエウケソン招集、完全な国外出身選手では初”. www.afpbb.com (2019年8月21日). 2021年12月15日閲覧。
- ^ “中国、サッカー代表選手にタトゥー除去勧告”. AFP (2021年12月30日). 2021年12月30日閲覧。
- ^ “中国代表、4人の帰化選手は何者? ブラジルとイングランド出身、日本代表の脅威に【W杯アジア最終予選】”. フットボールチャンネル (2021年9月7日). 2021年12月29日閲覧。
- ^ “東アジア選手権、日本開催に サッカー”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2022年4月19日). 2022年4月19日閲覧。
関連項目
外部リンク
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